京の着倒れ・大阪の食い倒れ・神戸の履き倒れは本当?52都市の家計データで検証

京の着倒れ、大阪の食い倒れ、神戸の履き倒れ、は本当か? NIPPONデータ検証

NIPPONデータ検証

京の着倒れ・大阪の食い倒れ
神戸の履き倒れは本当?

主要52都市の家計調査から、昔からの地域イメージを現代の支出額で確かめます。

ことわざは面白い。でも、家計簿の順位は別です。

「京の着倒れ・大阪の食い倒れ・神戸の履き倒れ」。この有名な3つを、国の統計である総務省統計局「家計調査・家計収支編・二人以上の世帯・品目分類」の2023〜2025年データでチェックしました。見るのは二人以上世帯の1世帯当たり年間支出額。そのまま文化の証明にはしませんが、今の支出に特徴が残っているかは確かめられます。

ワンちゃん

あの3都市が、それぞれ1位だったりして!

解説

先に指標を決めて、52都市を同じ条件で比べてみましょうね。

まず結論。3都市は現代の1位ではありませんでした

ことわざと家計データは、ここでは一致しません

「着倒れ」は洋服、「食い倒れ」は外食、「履き倒れ」は履物類で判定しました。結果は京都市18位、大阪市23位、神戸市29位。どの都市も、事前に決めた主指標では1位ではありません。

ここは、よく知られた言葉からは意外な答えです。ただ、データ検証としてはむしろ大事です。都市のイメージを、都合のよい費目へ後から付け替えずに比べた結果です。

京の「着倒れ」は、洋服費では18位

京都市の洋服費は、3年平均で48,574円。全国平均を+5.1%上回りましたが、主要52都市では18位でした。

年間支出額・3年平均48,574円
主要52都市中18位
全国平均との差+2,370円(+5.1%)

2016〜2025年の10年間で見ると、京都市が洋服費TOP10に入った年は0回です。「着倒れ」を今の家計支出の上位常連とまでは言い切れません。

主要52都市の二人以上世帯について、2023年から2025年の洋服年間支出額平均を高い順に示したグラフ。京都市をミント色で表示。
主要52都市の洋服費ランキング

ワンちゃん

え!さいたま市?

大阪の「食い倒れ」は、外食費では23位

大阪市の外食費は、3年平均で183,722円。全国平均より-1.6%低く、主要52都市では23位でした。

年間支出額・3年平均183,722円
主要52都市中23位
全国平均との差-2,943円(-1.6%)

長期でも、大阪市の外食費がTOP10に入った年は0回です。外食の支出額だけを見る限り、「食い倒れ」を52都市の首位とする結果にはなりません。

主要52都市の二人以上世帯について、2023年から2025年の外食年間支出額平均を高い順に示したグラフ。大阪市をミント色で表示。
主要52都市の外食費ランキング

解説

大阪の外食費はとても平均的でした!

神戸の「履き倒れ」は、履物類では29位

神戸市の履物類への支出は、3年平均で16,689円。全国平均より-4.1%低く、主要52都市では29位でした。

年間支出額・3年平均16,689円
主要52都市中29位
全国平均との差-709円(-4.1%)

神戸市は2016〜2025年の10年間で履物類TOP10に3回入りました。ただし、直近3年平均では29位です。単年の順位だけで「履き倒れ」を決めるより、期間をそろえて見るほうがフェアです。

主要52都市の二人以上世帯について、2023年から2025年の履物類年間支出額平均を高い順に示したグラフ。神戸市をミント色で表示。
主要52都市の履物類費ランキング

解説

ここもさいたま市と東京23区が上位でした

では、現代の「3大倒れ都市」はどこ?

ここからが本題です。3つの主指標で、2023〜2025年平均の1位をそのまま出します。結論は、さいたま市、東京都区部、そして再びさいたま市でした。

令和の着倒れ

さいたま市

69,199円
主要52都市中1位
2位との差 5,387円

令和の食い倒れ

東京都23区

276,675円
主要52都市中1位
2位との差 18,291円

令和の履き倒れ

さいたま市

24,505円
主要52都市中1位
2位との差 2,448円

1位は目立ちますが、差の大きさも見逃せません。洋服費の1位と2位の差は5,387円、外食費は18,291円、履物類は2,448円です。1位でも、突出している費目と僅差の費目は分けて見たいところです。

洋服費 TOP10

順位 都市 年間支出額
3年平均
全国平均との差
1位 さいたま市 69,199円 +22,995円(+49.8%)
2位 東京都区部 63,812円 +17,608円(+38.1%)
3位 名古屋市 63,392円 +17,188円(+37.2%)
4位 横浜市 61,779円 +15,576円(+33.7%)
5位 福岡市 58,229円 +12,025円(+26.0%)
6位 千葉市 57,159円 +10,956円(+23.7%)
7位 広島市 55,067円 +8,863円(+19.2%)
8位 熊本市 53,957円 +7,754円(+16.8%)
9位 岡山市 53,892円 +7,689円(+16.6%)
10位 北九州市 53,866円 +7,662円(+16.6%)

外食費 TOP10

順位 都市 年間支出額
3年平均
全国平均との差
1位 東京都区部 276,675円 +90,009円(+48.2%)
2位 さいたま市 258,383円 +71,718円(+38.4%)
3位 名古屋市 243,252円 +56,587円(+30.3%)
4位 横浜市 226,437円 +39,771円(+21.3%)
5位 千葉市 226,294円 +39,628円(+21.2%)
6位 川崎市 225,691円 +39,026円(+20.9%)
7位 熊本市 210,124円 +23,458円(+12.6%)
8位 宇都宮市 204,092円 +17,427円(+9.3%)
9位 相模原市 203,057円 +16,392円(+8.8%)
10位 富山市 202,283円 +15,617円(+8.4%)

履物類費 TOP10

順位 都市 年間支出額
3年平均
全国平均との差
1位 さいたま市 24,505円 +7,107円(+40.8%)
2位 東京都区部 22,057円 +4,659円(+26.8%)
3位 横浜市 21,907円 +4,509円(+25.9%)
4位 富山市 20,658円 +3,260円(+18.7%)
5位 千葉市 20,384円 +2,986円(+17.2%)
6位 川崎市 19,686円 +2,288円(+13.2%)
7位 名古屋市 19,119円 +1,721円(+9.9%)
8位 奈良市 18,809円 +1,411円(+8.1%)
9位 京都市 18,650円 +1,252円(+7.2%)
10位 広島市 18,490円 +1,092円(+6.3%)

このランキングは、支出額の順位です。買った量、価格、世帯の年齢構成、地域文化を直接示すものではありません。数字から確認できるのは、同じ統計条件で比べた年間支出額の差までです。

ワンちゃん

意外な結果でした!

データの見方

データは総務省統計局「家計調査・家計収支編・二人以上の世帯・品目分類」。全国と主要52都市について、2023年・2024年・2025年の名目年間支出額を単純平均しました。

指標は結果を見る前に固定しています。京都市は洋服、大阪市は外食、神戸市は履物類です。上位になりそうな別の費目へ後から変更することはしていません。

支出額が高いことは、購入量が多いことと同じではありません。また、このデータだけで地域文化や人の好みの理由を決めることはできません。今回は、昔からの言葉が現代の家計支出にも表れているかを、数字の範囲で確かめました。

出典:総務省統計局「家計調査」2016〜2024年表、総務省統計局「家計調査」2025年表。対象は二人以上の世帯、主要52都市。金額は2023〜2025年の名目年間支出額の単純平均。

調査の結果を受けて

「京の着倒れ・大阪の食い倒れ・神戸の履き倒れ」は、その由来には諸説あるものの、京都・大阪・神戸それぞれの土地柄や暮らしぶりを表す言葉として古くから語られてきました。

今回、NIPPON DATA LANDでは、この言葉が令和の家計にも表れているのかを、主要52都市の家計データから検証しました。しかし、少なくとも今回比較した洋服代・外食費・履物代という統計上の数字では、ことわざ通りの結果にはなりませんでした。

もっとも、これだけで「昔からの言い伝えは間違っていた」と結論づけることもできません。たとえば、ある都市の外食費が低いからといって、その地域で外食文化が弱いとは限りません。利用する店の価格帯や、食料・調理食品との支出バランスなどによっても、家計に表れる金額は変わります。

大阪についても「安くておいしい店が多い」といったイメージがあります。仮に外食を楽しむ文化があったとしても、1回あたりの支出額が比較的抑えられていれば、家計調査の外食費だけでは「食い倒れ」の姿を十分に捉えられないかもしれません。京都の衣類や神戸の履物についても同様で、支出額だけでは見えない側面がありそうです。

今回分かったのは、「着倒れ・食い倒れ・履き倒れ」という地域イメージは、単純な家計支出額だけでは確認できなかったということです。

もしこの記事の反響がよければ、次は外食費の長期推移や食費の内訳、地域ごとの飲食店数や価格水準など、公開データで確認できる範囲を組み合わせて、もう一段深く調べてみたいと思います。京都の「着倒れ」や神戸の「履き倒れ」についても、衣類・履物の内訳や長期的な順位の変化などから、別の角度で検証できそうです。

昔から何となく語られてきた地域イメージを、いろいろなデータから確かめてみる。そんな調査も、NIPPONデータ検証で続けていきます。

ワンちゃん

ご覧いただきありがとうございました!

解説

この記事がどこかの誰かのお役に立てていたら幸いです!

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